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【著作権】クリエイターさんとの権利の取扱いについて話すために

歌い手・VTuber・配信者などの活動者にとって、イラスト・映像などのクリエイティブは、極めて重要な要素です。

しかし、活動者にとって大事なものである一方で、イラストレーター・映像制作者さんなどのクリエイターさんにとっても、思い入れがある我が子のような存在です。

そこで、この記事では、活動者がクリエイターさんとクリエイティブに関する知的財産権をしっかりと話し合うために必要な知識・文例について、専門的知見から解説をします。

第1 はじめに(権利処理は重要)

活動者にとって、イラストや楽曲、動画といった創作物は、活動の根幹を支える極めて重要な資産です。

タレントや運営側にとって、これらの創作物に関する知的財産権を適切に管理・保有しておくことは、安心して長期的に活動を続けていくために絶対に欠かせません。

しかし、創作物の権利処理においては、思わぬ法律上の「落とし穴」が存在します。

たとえば、単に「著作権を譲渡する」と契約に書くだけでは不十分であり、著作権法第27条および第28条に定められた権利については、契約書に明示して譲渡の対象としなければ、著作者側に権利が留保されてしまうと推定されてしまいます(著作権法第61条第2項)。

第27条の権利というのは、簡単に言ってしまうと、まさに「二次創作」を許可する権利です。それらがクリエイターさんに留保されたままになってしまうのです。

また、権利譲渡だけでなく、「著作者人格権(同一性保持権や氏名表示権など)を行使しない」という「人格権不行使特約」を結んでおかなければ、SNS投稿時の画像トリミングやサムネイルの作成などで支障が出ます。(そういう修正も「改変」になり、同一性保持権侵害となり得ます。)

本記事では、クリエイターさまとの良好な信頼関係を維持しながら、知的財産権を適切に処理・譲渡していただくための実務的なポイントや具体的なやり取りの文案、契約条項例について分かりやすく解説していきます。

第2 クリエイターさんの思いと、権利がないと起きること

1 クリエイターさんの思い

クリエイターの皆さまにとって、ご自身が生み出した作品は時間と情熱を注ぎ込んだ大切な存在であり、我が子のような思い入れがあります。

「自分の創作物を守りたい」「不適切な形で使われたくない」という強い思いを抱くのは至極当然のことであり、活動者側もそのお気持ちを心から尊重しなければなりません。

だからこそ、活動上で必要となる「権利取扱い」には妥協することなく、クリエイターさんと対話をして、双方が納得した条件で、発注する必要があります。

万が一、権利処理が曖昧なまま、あるいは権利が活動者側に適切に譲渡されていない状態で活動を展開してしまうと、結果として大きなトラブルに発展してしまう危険性があります。

2 タレントに権利がないと起きること

権利処理が適切になされていない場合、具体的にどのようなリスクや制約が生じるのでしょうか。

大きく分けると以下の3点があげられます。

  • ①創作物を使用する場合:
    • 都度の許諾確認:
      • SNS投稿や配信での使用等については、MVの告知であっても、逐一クリエイターさまに許諾確認を求める必要が生じる場合があります。
    • 権利侵害リスクと配慮:
      • 契約交渉の過程などでこの点が詰め切れていない場合や、反響等が凄まじく事後的に幅広な使い方をしそうになる場合などは、クリエイターさんとあらかじめ交渉していないと「権利侵害」になるため、かなりの配慮が必要となります。
  • ②クリエイターさんとトラブルになった場合:
    • 使用停止・削除請求リスク:
      • また、クリエイターさんとトラブルになったり、クリエイターさんが病んでしまった場合などは、クリエイターさん側から一方的に「使用停止」や「削除請求」などが来る可能性があり、それらについて対応せざるを得ない場合があります。
  • ③誹謗中傷や無断転載に対応する場合:
    • 権利がないと開示請求・損害賠償請求が困難な場合がある:
      • 無断転載や、イラストを用いた海賊版グッズの販売などの権利侵害行為に対して、税関で止めたり、PFでの通報手続きをする際に、権利が帰属されていないと、受け付けてもらえなかったり、クリエイターさんに書面などの提出を求める必要が生じる場合があります。

第3 権利処理を適切にする方法

1 見積もり・契約前段階のやり取り(文案付き)

権利処理に関するトラブルを防ぐための第一歩は、発注前の「見積もり・初期のご相談段階」において、あらかじめ「権利買取(著作権等の譲渡)」を前提としたご相談を行い、ご納得いただくことです。

制作が進行したあとや納品後に権利の話を持ち出すと、クリエイターさまに不信感を与えてしまう原因になります。

初期段階で「なぜ権利の譲渡が必要なのか」という理由を誠実かつ丁寧にお伝えし、ご納得いただき、その費用を含めてお見積りを出していただくことが極めて重要です。

権利の重要性を述べるときは、以下の文案が有用です。以下の文案では、クリエイターさまの懸念を和らげつつ、こちらの意図を正確に伝えることができます。

【見積もり・ご相談時の伝達文案】

知的財産権がクリエイターの皆様にとって大切な権利であることは、重々承知しております。

そのうえで、今回のご依頼では「知的財産権(著作権法第27条・28条に規定する権利を含む)の譲渡」と「著作者人格権の不行使」をお願いできればと考えております。

主な理由は以下の2点です。

① 無断転載や海賊版から作品を守るため

知的財産権が当方にないと、悪意ある第三者による無断転載や不適切加工に対し、迅速な削除申請や法的対応が行えません。結果として先生にご負担やお手間をおかけしてしまうことを防ぐ目的がございます。

② スムーズな運用と双方の負担軽減

今後、SNS告知をはじめ、各種活動やグッズ・メンバーシップ展開など幅広く活用させていただく予定です。その都度確認をお送りする形ですと、双方にとって事務負担が大きくなってしまう懸念がございます。

====

もちろん、先生にお力添えいただいた大切な作品ですので、ご意向を十分に尊重しながら利用させていただきます。

趣旨をご賢察のうえ、ご検討いただけますと幸甚に存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

なお、Uta-Portaでは、有料会員向けに、見積もり段階のメール文例や、内容を入れればそのまま活用できる仕様書フォーマット、クリエイターさんの発注に使える契約書フォーマットを展開準備中です。是非、有料会員登録をご検討ください!

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2 契約での明記

事前のご相談でご納得いただいた後は、その内容を口頭約束で終わらせず、必ず契約書上の条項として明確に文章化します。

2-1 何が必要?

契約書に「知的財産権を含めた譲渡条項」「人格権不行使特約」を入れることが必要です。

以下に条項例を示します。甲が発注者(活動者)で、乙が受注者(クリエイター)です。

2-2 知財帰属の条項例

乙は、本業務の遂行過程において生じたノウハウ、発明、考案、意匠、著作物その他の一切の成果物(中間成果物を含み、以下「本件成果物」という)に係る日本を含む全世界における特許権、商標権、実用新案権、意匠権(いずれも登録を受ける権利を含む)、著作権(著作権法第27条及び第28条に規定する権利を含む)、著作隣接権その他一切の知的財産権(将来法令改正によって付与される権利を含む)を甲に譲渡する。

2-3 人格権不行使の条項例

乙は、甲及び甲が指定する第三者に対し、本件成果物に係る著作者人格権、実演家人格権その他の人格的権利を行使しないものとし、甲又は甲が指定する第三者が、乙の氏名若しくは名称の表示の有無又は態様を任意に決定して本件成果物を公表すること及び本件成果物を利用するために必要な改変を行うことについて、あらかじめ同意する。

2-4 取適法/フリーランス保護法を守るための条項例

取適法/フリーランス保護法については、別途解説を予定していますが、取適法/フリーランス保護法上、権利の譲渡や不行使の対価が報酬に含まれている旨を明記しておくことが必要です。

甲及び乙は、前各項に定める権利の取扱いに関する対価が、第●条において定める報酬に含まれることを相互に確認する。

第4 クリエイターさんと良い関係を築くために

権利取扱いは、活動者・クリエイターともに大事なものであり、妥協しては決してダメなところです。

クリエイターさんは、自分の創作物に思い入れがあり、それは当然のことです。

一方で、活動者にとっても、自分たちが日々活動するための根源的な存在であり、迅速・自由に使えるようにしたいという考えを抱くことも、また当然のことです。

だからこそ、権利があるからといって、クリエイターさんの思いを無下にするようなことはせず、誠実に活動をしていくことが大切です。

改めて、契約や法的保護をしっかり固めたうえで、相手への敬意を持った丁寧なコミュニケーションを心がけていきましょう!


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